DDPとは、博士課程学生(DDP学生)が自校と相手校に同時に在籍し、 両大学それぞれの指導教員から共同指導を受けて、最終的に両大学より別々の博士の学位を取得するものです。
両大学の指導教員は、緊密に連絡を取り合って学生を共同指導し、共同研究を行います。 DDP学生は、教育プランに従って、一定の期間両大学に滞在し、 それぞれの指導教員から直接指導を受けます。博士課程在籍のトータルの期間は、おおよそ4年ですが個別の事情によって多少長くなることもあります。DDPを取得することで、異なる国の両大学が母校となり、国際色豊かな経験を積むことができる上に、就職の機会も広がります。
ただし、DDP制度の適用を受けるためには、自校と相手校との間で、 大学間協定を締結していることに加えて、 DDP覚書が締結されている必要があります。
また、自校の指導教員と相手校の指導教員の間で 十分な話し合いがなされている必要があります。
国際性を高めることのできる魅力あふれる制度ですので、 積極的に指導教員に相談してみてください。
DDPを希望する学生Aは、まず前提として自校の博士課程に入学し、指導教員B教授を決めます。
その後、DDPを希望することをB教授に伝え、相談しながら相手校の指導希望教員C教授を決めます。 B教授とC教授は、学生Aを交えて事前に十分話し合って教育プランを決めます。
ここまでが準備段階です。
その後、相手校の博士課程にDDP学生として入学する手続きに進みます。 相手校に願書を提出し、入学試験を受けます。DDP学生としての入学試験に合格すると、この時点から両校にDDP学生として同時に在籍することになります。 それ以降のプロセスは、以下の履修モデルにあるように個々のケースの教育プランにより異なります。
たとえば、ワルシャワ工科大学と静岡大学の間のDDPは、 おおよそ次のようになっています。 ワルシャワ工科大学の学生A君は、まず1年~半年間博士課程学生としてワルシャワ工科大学で過ごした後、指導教員と相談の上、静大とのDDPに志願します。DDP学生として入学が許可された後、渡日して静岡大学にて、2~3年間研究活動を行い、静岡大学から学位を取得し、ふたたび自校に戻って1年間ほど追加研究を行ってワルシャワ工科大学から学位を取得します。DDP学生として静岡大学で過ごすにあたって、日本国政府の国費留学生の奨学金を申請することも可能です。DDP学生は、毎月両大学の指導教員に Monthly Reportを提出して、情報の共有化をもとにスムーズな共同指導が行われています。 博士号の学位は、それぞれの大学に異なる観点からまとめた博士論文を提出して審査を受けます。 具体的な教育プランは、個々のケースによりフレキシブルに対応されますが、 標準的には4年間の履修期間が想定されています。
静岡大学では、これまでにインドネシア大学から6名、ワルシャワ工科大学から3名、ゴメルステート大学から4名、アレクサンドル・アイオアン・クザ大学から2名、中国科学院・プラズマ物理研究所から3名、プサン大学、慶北大学から1名ずつ、合計20名の学生をDDP学生として受入れを行っています。一方、静岡大学からはドイツ・ブランシュバイク工科大学に2名の日本人学生をDDP学生として派遣しています。
また、これまでに静岡大学において博士学位を取得したDDP学生は、ワルシャワ工科大学3名、ゴメル国立大学3名、アレクサンドル・アイオアン・クザ大学2名、インドネシア大学2名、ブランシュバイク工科大学1名の合計11名となっています。このうち、 ワルシャワ工科大学、アレクサンドル・アイオアン・クザ大学の学生各1名、およびインドネシア大学の学生2名が出身大学においても博士の学位を取得し、文字通り、ダブルディグリー取得研究者として、現在、母国で大いに活躍しています。このように、DDPを通した若手研究者の育成と研究活動の成果は、双方の大学の大きな教育研究資産として共有されるとともに、両大学の学術交流をさらに深める上での極めて重要な礎となっています。
(2015.1.19現在, 文責永津)
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